PC打ち込み音楽では体験できない 

グルーヴ・ゆらぎ・躍動感

 
 規則的で寸分の狂いもなく耳に突き刺さるプレーヤーレスのデジタル音楽には気持ち良ささえ感じます。そんなデジタル化の影響か
逆に躍動感のある「グルーヴ」の言葉がクローズアップされています。
 私たち人間が感情の動物であることを思えばアコースティック音楽時代を懐かしく思うのは当然のことかも知れません。それがグルーヴという言葉をクローズアップさせる要因となっていることはいうまでもありません。

 検索でヒットした沢山のグルーヴの説明に目を通すとその定義には一貫性がなく、ノリなどとそれぞれ勝手に解釈しています。
 それではノリとは何ぞや、それを文章で表現することは大変難しい。不可能と言い切っても過言ではないでしょう。結局、それだけ漠然としていて難しい分野とも言えるのかも知れません。

 グルーヴによってかもし出されるノリやゆらぎ、躍動感に満ちあふれた演奏は知識として頭で理解するのではなく、身体全体で表現することによって成し遂げられるものなのです。


line

 

音色(楽器本来の音色の追求)
 グルーヴを論ずる前に音色について説明します。ピアノにしてもドラムスにしてもその楽器本来の音色がある事を考えたことはありますか。手持ちの楽器では満足できず、より高価な楽器を手にしたくなる欲求は良い音を求めている証拠ではないかと思います。しかしそれ以前に手持ち楽器にもその楽器本来の音色があることに気付いて下さい。
 ドラムスの場合、スネア、タム、BDに至るまですべてが2枚皮(オーケストラのティンパニーは1枚皮)です。2枚皮は裏皮まで振動させてこそ本来の音色が得られます。表皮のみの振動では、衝撃音が痛いくらいに耳に突き刺さり、表現したい楽曲やリズムを的確に演奏に表すのが難しい。しかも会場の聴衆の所までは音が飛ばないから始末が悪い。自己満足で届いていると思ってしまうのは不幸な事です。これを「そば鳴り」と言って未熟者を指す時に使います。会場全体の空気を振動させて隅々の聴衆までを満足させられる音に挑戦してみる事が大事です。 グルーヴの原点となる楽器本来の音色に初めて遭遇した人からは、これこそ熟練芸だの声も聞かれるくらいです。

グルーヴとは
 規則的に進行する無駄のない機械的な演奏とは別に、アコースティック演奏の場合はノリや微妙な揺れが込められた遊びの部分が生じ、それが私たちの心に安堵感をもたらし自然呼吸のタイミングが与えられ、奏者と聴衆が一体感を共有出来る、それが達成されたらこんな素晴らしいことはありません。それがノリという漠然とした言葉で表現されているのでしょう。
 ノリを追求する前にリズムについて考える必要があると思います。
 リズムを理解することがグルーヴについて何か分かったような気持ちにさせる第一歩であると同時に、大切な要素であることも確かだからです。

[リズム]
 リズムとは律動とか躍動(生き生きと活動すること)と訳されます。奏者には聴衆に心地よいリラックス感を与えたり、ある時には体を動かして踊りたくなるようなそんな満足感や感動を提供する義務があります。練習のために一定の速度を機械的に刻むメトロノームやメリハリに欠け躍動感のないデジタル音楽のかもし出すリズムとは、全然違うことを理解しましょう。音楽の三要素(リズム、メロディー、ハーモニー)の中でドラムは音楽の根底となるリズムを担当します。リズムの基本を語るには下記に説明する拍子や舞曲としてのリズムが欠かせないと考えます。

●拍子
 楽譜の最初に4/4とか3/4とか6/8などの表記が有りますがそれが拍子です。強拍と弱拍の組み合わせを表す拍子記号なので演奏はその指示によって行われます。音の長短とダイナミックス(ボリューム)しか表現できないドラムス奏者にとってはこの拍子記号によってアクセントの場所が指定され、他の楽器とのアンサンブルが容易になるのです。


●舞曲としてのリズム
 ロックやジャズ、マンボ、サンバのように独立した楽曲を構成する完成されたリズムパターンのことで、地方の生活や風習、習慣に密着した民族的な舞曲が原点になっています。これらの踊り(ダンス)においては踏み出し(1拍目)の部分に課せられた微妙な揺れに特徴があり、そのタメやゆらぎたっぷりのリズムが素晴らしいグルーヴ感を作り出しているのです。
 規則的に進行するデジタル音楽ではこの微妙なタメの部分の表現は不可能といえるでしょう。音をずらしたりアクセントを弱めたりなどでかなりの機械的な努力は見られるものの完全とはいえません。感情豊かな人間だけに与えられた素晴らしい表現法なのです。


 このページのtopへ



Topページ    会社方針    サービス    会社概要   お問い合わせ